ブラックスター「BLACK SONIC」福岡ライブセトリ&レポート

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡ライブセトリ&レポート

『ブラックスター』ライブイベント「BLACK SONIC」福岡公演のオフィシャルレポートが公開!ケイSingerの藤田玲をはじめ、新たに加わった青桐SingerのSHINらが出演!

■更新情報
2024.07.11:速報レポート掲載
2024.07.19:詳細レポート(昼・夜)&セットリスト追加【NEW】

「BLACK SONIC」福岡ライブ速報レポート

大都会の片隅にあるショーレストラン「スターレス」で毎夜繰り広げられるショーを楽しませるシンガーやパフォーマー。彼らはその誰もが一筋縄ではいかないワルメンたち。そんなワルメンを応援しながら楽しむリズムゲームコンテンツ「ブラックスター -Theater Starless-」(ブラスタ)ではこれまで「BLACK LIVE」や「BLACK TOUR」などのリアルショーでもファンを楽しませてきた。そのブラスタが新たにバンドと共に歌を放つ「BLACK SONIC」を開催。
ブラソニと呼称されるそのショーの初公演が福岡で敢行された。

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡

初めて開催されるブラソニ。期待感に包まれた会場にライブのはじまりを告げる映像とSEが流れ、暗く塗りつぶされた会場に光が当たった瞬間、ステージ上には9人のシンガーの姿が。歓声に包まれた会場に力強いドラムの音が響き、バンドサウンドが音圧たっぷりにフロアを席捲すると4周年記念曲「Outsider」を、そこに立つ全員で歌い上げれば、オーディエンスは思い思いの色に灯されたペンライトを揺らした。この「Outsider」は元々3曲を自由に組み合わせることができた4周年曲。 それをフルで繋げた“BLACK SONIC ver”として披露されたことにファンはもちろんシンガーも満足の表情。オープニングのラストは「最後までよろしくー!福岡―!」とチームWのシンガー・晶の歌唱を担当する小林太郎が叫び、フロアのオーディエンスが一斉に応えた。

昼の部は「Breakin’it faster」に「雪花」、「Out in Out」というチームWの楽曲を筆頭に、これまでも人気の高かったナンバーからリアルライブ初披露となる楽曲までを余すことなく堪能させる。これまではダンサーと共に、それぞれの演目の楽曲の世界観をダンサーの表現力も加えて見せていたステージから、フロアにぶつけるような荒々しさ、時に抒情的に、情景的に届けるバンドアレンジでの音で“演目”を背負ったライブとなったブラソニ。聴きなれた曲も序盤から全く表情の違う、新しいスターレスを感じさせた。

そもそもの楽曲がバンドの音との親和性の高いチームWのみならず、チームK、チームB、チームP、チームCの楽曲群、さらに新たに加わった青桐ことSHINも含め、福岡に集ったシンガーたちの卓越した歌唱力とドラマを内包したボーカルはバンドの演奏と相俟って、楽曲の魅力をさらに高めた印象が強いライブとなった初日。BLOCK1で各チームのフラグシップ曲から始まり、「スターレス」の物語を辿るように、Season1~5までの楽曲が披露された。昼公演は、まさに“最初の一歩”を味わえたステージとなった。

特筆すべきは新曲の歌唱だ。チームKのケイと夜光の歌唱による「WORLDS APART」はホワイトデーイベントで実装された一曲。深淵を思わせる夜光のボーカルと生命力の漲るケイのボーカルが絡み合うナンバー、さらにはメドレーイベントとして今春実装されたチームWの「Riskin’it all」、そして5月実装の最新曲であり、晶とチームCのシンガー・柘榴が歌う「Seed in your hand」では小林としゃけみーが圧倒されるほどのラウドなロックンロールを伸びやかな歌声で響かせ観客を歓喜させ、初めてのバンドセットで見せたライブアレンジされたブラスタ楽曲たちは圧巻のパワーを誇る。こうしてブラスタは初の公演となった福岡に「これがブラソニだ!」という楔を刻み付けた。

夜公演はチームPを筆頭としたライブ構成。物語がスターレスのリニューアル前のチームWから生まれたチームであるPを筆頭とした公演となる。チームPのシンガーで本公演のステージに立つあじっことKradnessがブラスタへの想いを語る場面も。ラウドなロックのカラーが強かったチームWのセットリストとはガラリと空気を変え、「aka,aka」や「はつ恋」、「Luminous Snow」に「BELOVED」といったチームPのナンバーによってライブ自体に煌めきを感じさせた夜公演は、シーズン5の最終章『Owner’s Order』で実装された吉野とマイカが歌う「Ur-Fall」、さらに6月に実装されたばかりのヒースが歌う「Armageddon」まで最新曲もバンドアレンジで聴かせるという驚きのセトリに観客の歓声は止むことがなかった。

バンドセットによる楽曲の新たな可能性を見せたブラックスター。スターレスのワルメンたちと同じく常に挑戦の足を止めることなく、果敢に進んでいくライブシリーズはまだ開幕したばかり。ここから続く公演でどの曲が、どんな進化を見せるのか。期待の想いは膨らむばかりだ。

詳細レポート

昼公演

2019年にスタートを切ったアプリゲーム「ブラックスター -Theater Starless-」。まもなく5周年を迎えるブラスタはそのはじまりから“音楽”を全面に押し出し、ライブにツアーにハロウィンパーティーに、とシンガーと共に色とりどりの楽曲を届けてきた。そんなブラスタがこれまでにない、バンド演奏でブラスタ楽曲を届けるツアーを敢行する。魅力あふれる楽曲群をバンドアレンジで響かせる「BLACK SONIC」、その初日の公演であり“はじまりの一歩”となったZepp福岡の昼公演をレポートする。

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡昼公演

バンドで放つ第一声はシンガー全員歌唱の「Outsider BLACK SONIC ver.」!

ざわめくフロア。無人のステージは暗く静かだ。そこにライブのはじまりを告げるSEが流れ、スターレスに所属する各チームがスクリーン上に紹介されていく。まるで号砲のような音に導かれるように、ステージに光が注ぐとそこにはシンガーの姿が。「行くぞ福岡ーー!」とチームKのシンガー・ケイの歌声を担う藤田玲。「よろしくーー!」と続いたのはチームWのシンガー・晶の小林太郎。そして鳴り出したのは「Outsider BLACK SONIC ver.」。ずらりと並んだ9人のシンガーが次々に歌声を繋いでいく一曲は、コンテンツの4周年を祝したナンバー。 そもそもは3曲を自由に組み合わせることができるという画期的なアイディアで生まれた一曲はそれぞれの曲のカラーはそのままに熱く轟く一つの曲へと変貌を遂げていた。

「福岡、救国されたいかー!」と叫ぶ藤田の声に会場から歓声が沸き、ライブはチームKの「During the demise」へ。低く唸るギターリフが紡ぐナンバーをソウルフルに歌い上げる藤田の声に吉野のシンガー・齋藤知輝のラップが加速をかける。 2019年に届けられたシーズン1第1章のメインテーマであり、長くファンに愛され続ける一曲がバンドの生演奏の音によって熱を増すのを感じさせた。

エレクトリックなイントロにエモーショナルなギターが乗ると「ヘイ。ご機嫌よう。群れるだけの脳のない家畜……」と呟くTakuya IDEが登場し、チームBの圧倒的なパワーを宿す「日蝕」を歌う。チームBの、ヒースMC・IDEのマグマのような熱を内包するアグレッシブなヒップホップチューンがバンドアレンジで圧倒的なパワーを帯びた。

ガラリと雰囲気を変えたのはチームPの「虹の彼方へ」だ。伸びやかなマイカの歌声をシンガー・Kradnessが響かせる。柔らかなギターとドラムが紡ぎだすダンスビートにフロアではピンクのペンライトが右へ左へと揺れる。爽快なポップチューンがチームPここにあり!と宣言するように会場を包み込んだあとには「さぁ、福岡!今日1日、盛り上がっていこう!」という声が。チームCの柘榴シンガーのしゃけみーが紫の光を帯びたステージへと登場すると、「Purple Dawn」によってフロアが夜明け独特の色に浸食されていく。 ドラムとベースとが生み出すダンスビートは力強く響き、普段の「Purple Dawn」とはひと味どころではない熱さを持ってオーディエンスを圧倒していく。

シャンシャンシャンシャン!ハイハットでのドラムカウントでギターとベースが唸る。「ブチあがろうぜ!福岡―!」と叫ぶ小林。昼の部を牽引するチームWだ。2019年のシーズン1第2章を彩った「Breakin’it faster」が轟き、会場は一体となって声をあげて歌う。水色のペンライトが竜巻を起こすように激しく揺れ、ラウドに鳴るバンドの音がフロアを席巻していくのを感じる。そもそもバンドサウンドとの親和性の高かったチームWの曲はここで真価を発揮するように会場を震撼させた。

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡昼公演

ヒップホップもロックを纏う。新たな魅力で響くバンドアレンジ。

最初のMCに登場したのは藤田、小林、あじっこ。「会場も声をあげることで一体感を出していこうぜ!」と藤田。バンドと共に音を響かせるライブはブラスタとしても初めての試みとあって「Wの楽曲は激しかったり、飛んだり跳ねたりのものが多いんですが、今回は全チームの楽曲がバンドアレンジで聴けるのは楽しみではないでしょうか」と小林。「1曲目の『Outsider』は鳥肌ものではなかったですか?」とあじっこも興奮を隠せない。 「本日はチームWということで、聴いてください」と藤田による曲紹介があり、ステージは再びライブへ。

全身に打ち付けるようなビートが響くと「雪花」を歌い上げる小林。ミディアムなビートながらバンドサウンドとなった一曲は小林のボーカルを得てその力強さを増し、パワー感が原曲を凌駕していく。「まだまだ始まったばかりだぜー!飛べるか!福岡ぁー!」と小林が告げると、会場からは大きな歓声が沸く。 グルーヴするギターとベースの音に跳ねるドラムのビートが地から鳴るような低音の轟音を響かせる「Out in Out」ではヘッドバンキングをする小林と共にフロアの観客も頭を振り乱していた。

そんな小林からバトンを渡されたのは藤田。ダイナミックなビートで紡ぐチームKの「Crazy for」を伸びやかに歌い上げると、フロアにはケイのカラーのみならずチームKのほかシンガーである吉野、夜光を思わせるカラーも揺れている。軽快かつパワフルなラップで魅せたケイの一曲に続いたのはチームPの「はつ恋」だ。 マイカとリンドウの2人で歌う甘くも切なさ滲む一曲をマイカのシンガーであるKradnessとリンドウのシンガー・あじっこが歌い上げる。2人の色に分けられたステージ上のライトが印象的に灯されていく。心逸らせるドラムの紡ぐビートが会場を浸食していった。ラップサウンドと生バンドの音の親和性については未知だったように思う。

しかしことチームBの楽曲についてはバンドアレンジのシンクロ度が際立っていたように感じたのは「極夜」だ。 「Hey! Hey!」とフロアを煽るIDEのパフォーマンスと共に鋭さを増していくラップがフロアをヒートアップしていく。妖艶なボーカルが響き、チームCの「暁の願い」が鳴り出すと会場の空気は一変。「天守物語」をモチーフにしたチームCの演目曲を彩ったのは城の天守の散りゆく桜。そして美しい月。これまではダンサーと共に独特のパフォーマンスを見せてきた最たるユニットであるチームCのステージで、積極的にクラップを求めるなど、バンドアレンジという新鮮な熱を感じさせた。

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡昼公演

息をもつかせぬ怒涛のライブ。その熱が福岡を席巻する。

MCで登場したのはチームBのIDE、チームKの齋藤、チームCのしゃけみーの3人。「3人ともジャケットだね」と笑い合う仲の様子を見せた。ここでグッズの紹介をする。チームごとのペンライトについて話す際には3人で顔を突き合わせるようにしている距離の近さに見守るファンも笑顔になる。

そんな笑顔を前にライブは中盤に。ヒースの心をそのまま歌にしたようなチームB「綺羅星」は2021年11月の温泉イベントの際の楽曲。じっと聞き入っていたフロア。同じく静かに歌が続く。チームPの「銀河鉄道を探して」だ。 夜空へと想いを馳せてしまうような、ドラマティックで優しいサウンドをバンドが生演奏で紡いでいくと、Kradnessの声も伸びやかに広がっていった。

そしてステージの場面は変わる。チームKの「闇に咲く」はアレクサンドル・デュマ・ペールの「モンテ・クリスト伯」をモチーフとした公演の曲。吉野が歌い上げるのはエドモン復讐劇の想い宿るミディアムチューンながら、より感情的に、人間味を帯びた歌声となって響く。

すると、フロアは吉野を象徴するピンクのカラーに染まった。 チームKの夜光の歌を担当する松本明人が「眠れる森の美女」をモチーフとした公演曲「PRISMATIC TEAR」をしっとりと、しかし力強く歌い上げる。歌声がキャラクターを立体的にするという部分を顕著に表しているのが松本の歌かもしれない。そもそもロックバンドで歌ってきているからこそ、バンドサウンドとのシンクロが色濃い松本の歌とフェイクによって夜光の底知れない感情に触れられるような気がした。

一瞬の暗転。そして光が注ぐとそこには藤田の姿。ケイと夜光が歌う公演曲「WORLDS APART」だ。 ジュール・ヴェルヌ著「海底二万里」をモチーフとした投票選抜キャストによって2024年3月に開催されたホワイトデー公演の楽曲だった。選抜されたのはケイ、ネコメ、黒曜、夜光、銀星だったことでの新鮮さもあり、ファンにとっても記憶に新しいのではないだろうか。

深海を思わせる重厚なビートとダイナミックな海原のサウンドと共に藤田と松本のボーカルのユニゾンが放たれた曲のあとにはドラムとピアノとでドラマティックなリズムを紡ぎだす「LEVITATE」だ。ケイが歌う一曲を藤田が響かせる。 壮大な愛の歌をエモーショナルに歌い上げる藤田が印象的だった。

イントロから緑色のペンライトの光が揺れたのはチームBの「人間失格」。ステージ中央に立ったIDEがまっすぐにフロアを見つめて歌う一曲。チームBもダンサーとのパフォーマンスで魅せる様が印象に刻まれてきたユニットだ。バンドの音で叙情性を増したトラックに全身を揺らしながらミズキや藍たちパフォーマーの姿も見えてくるようなIDEのステージだった。

チリチリとノイズのような音が響く。 「踊り狂う準備はいいか、福岡」と声がするやイントロから妖艶な歌声が届く。チームCの新たなシンガー・青桐の歌声を担当するSHINが登場し、「かかってこいー!」と叫ぶ。ギターもベースもフロントに飛び出し、激しいグルーブの中で襲い掛かるように響くはチームC公演曲「VAPORIZE」だ。ラヴェルの戯曲「ダフニスとクロエ」をモチーフとした一曲。恋人を海賊に奪われたダフニスの怒りがそのままに渦を巻くように叩き込まれるダンスビートにオーディエンスは跳ねて応えた。

間髪入れずに登場したのは小林。 チームWの「Riskin’it all」を歌い上げる。チームWの象徴曲でもある「Breakin’it faster」と同じ「ロミオとジュリエット」をモチーフに新たな解釈の公演で生まれた一曲は2024年2月末に実装された。その歌声から晶の感情までも滲んでくるような熱い歌声と力強い歌詞とにフロアの水色の光も大きく揺れる。

そんな一曲が終わるとステージは小林の隣にしゃけみーの姿が。 続いたのは2024年5月にシーズン5最終章「Owner’s Order」で実装された「Seed in your hand」だ。新旧オーナーの駆け引きの元、ドラフト制で2つに分けられたスターレス。この曲は旧約聖書・創世記の挿話やその叙事詩である「失楽園」をモチーフとしたハードでラウドなナンバーながら晶と柘榴のボーカルとでアグレッシブに紡ぐ天使の惜別の物語の歌だ。その高音轟くユニゾンは鳥肌が立つほどのパワー感だった。

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡昼公演

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡昼公演

初披露曲も目白押し!最新の曲まで網羅したスペシャルなセトリが轟く。

MCタイムはKradness、SHIN、松本の3人。福岡の盛り上がりを確かめるとここまでのライブを振り返る。「WORLDS APART」を初披露した松本は「最高の気分だった」と言うと、青桐のシンガー・SHINは「(「VAPORIZE」に)「200%でやっています」と熱意を見せる。

5周年を振り返る、という場面ではKradnessは「メインストーリー以外にもイベント公演楽曲をやらせていただいてきました」と話す。「まだまだいけますか!」と会場を煽ると銃声が響きシンガーがステージに勢ぞろいで「BLACKSTAR BLACK SONIC ver」としてバンドの音で響かせる。小林の歌い上げる力強いパートから藤田、齋藤、あじっこ、Kradness、IDE、しゃけみー、松本、SHINが歌声を繋ぎ、フロアもクラップと歌声を重ね、会場が一体となっていく。

ラウドなサウンドと共にフロアを圧倒すると、最後は3.5周年曲の「ego」。ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」をモチーフとした一曲だが、ヒースのラップを受けてケイが歌う場面が印象的なナンバーで会場をひとつにして、ライブ本編は幕を閉じた。

鳴りやまないアンコールの声にスクリーンでは楽曲ルーレットが映し出され、選ばれたのは「To the world」。吉野の歌を、齋藤がそのボーカルで響かせる。続いたのは2024年6月に実装されたチームCの「Blanche」だ。最新曲の披露に歓声があがった会場にしゃけみーが甘くもドラマティックな一曲を歌い上げる。高音部への抑揚の強いチームCらしい劇的なナンバーにフロアは聴き入っていた。

そしてスーツからTシャツへと着替えたシンガーが全員登場。チームWがメインとなる昼公演を総括した小林は「バンドアレンジという新しい試みで、今まで聴いてきた楽曲を音楽的にさらにパワーアップしてお届けできたのではないでしょうか」と笑みを見せた。

ここでギターのwata、ベースの剛士、ドラムの佳朗というバンドメンバーが紹介され、会場から大きな拍手が湧くと、ラストは1周年曲「Just a Loser」を全員で歌う。多くの曲が生まれ、時を重ねてきたブラスタ。まもなく5周年を迎え、シンガーは2人、増えた。ここからどんな進化が待っているのか。バンドの力強い音と共に圧倒的な力強さを纏ったブラスタの未来が楽しみになるブラソニ初公演だった。

夜公演

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡夜公演

各チームの代表曲が並ぶライブ序盤からバンドサウンドが圧倒する

初の試みである「BLACK SONIC」は、なんと昼夜2公演。層厚く轟くバンドの音とシンガーの骨太なボーカルが再び福岡の街を熱くすることに。会場の照明が消え、銃声とサイレンの音。会場は一気に物騒な街の一角へと姿を変え、「ブラックスター」に登場する各チームのメンバーが映像で次々に紹介されると、フロアにはサイリウムの光が揺れた。唸りをあげるギターが疾走するビートと共に鳴り響く「Outsider BLACK SONIC ver」で横一線に並んだ8人のシンガーたちが声をあげる。

ケイが、ヒースが、吉野が、リンドウが、マイカが、柘榴が、夜光が、青桐がステージに居並び、歌い上げる姿が浮かんでくる「夜もしっかり救国してやるからな!ついて来いよ!」と声をあげたチームKのケイのシンガー・藤田玲の歌う「During the demise」に黄色いペンライトがステージへと向かって波打つように揺れると、ビートを刻むように吉野のシンガー・齋藤知輝がステージの上段に登場すれば、そんな彼を指し示すようにピンクのライトが向けられた。

フロアに背を向けた藤田が両手を広げて光を浴びる。その光が落とされるとスクリーンに「日蝕」の文字。ステージ上段に現れたチームBのヒースのMC・Takuya IDEが「福岡全員、皆殺しだ!」と叫ぶとフロアの光は緑色に染められる。ドラムの強いアタックで生み出されるビートと歌うように鳴るベースの旋律とが饒舌にラップを支え、ギターの音色がヒースのラップを表情豊かに彩る。

殺伐としたフロアの空気をたった一節で変えてしまったのはチームPのマイカのシンガー・Kradness。マイカの艶と勢いのあるボーカルの情感豊かな様を感じさせた「虹の彼方へ」にピンクのペンライトの光が風のように舞い踊った。虹を見上げていたフロアは夜明けの静けさの中へと連れだされる。「さぁ、福岡夜の部、まだまだ盛り上がっていきましょう!」と声をあげたチームCの柘榴の歌声を担うしゃけみーが花をひらひらと舞わせるように腕を揺らすと紫に染められたフロアはまさに「Purple Dawn」の名のままに深淵の夜明けの色を帯びた。

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡夜公演

チームPの真骨頂・煌めく歌が福岡を熱くする

最初のMCを担ったのはあじっことKradnessというチームPコンビ。「今日はお昼の部もそうだったんですけど、みなさんのエネルギーがすごく高ぶっていて、僕らもすごくパワーをもらっています」というあじっこ。「今もしゃけみーさんが『Purple Dawn』をバンドアレンジで歌ってくれましたが、バンドが入るだけでこんなに迫力が生まれて、新しいアレンジで聴けることが今回のBLACK SONICの魅力だと思います」とKradness。

今回はシンガーとバンドでの生パフォーマンスで魅せる新形態のライブツアー。リニューアル後のスターレスの各チームの代表曲を聴かせる序盤の感想を語らう2人。もともとはリニューアル前にチームWにいたメンバーが新たな挑戦をしたい、と飛び出して結成されたのがチームPだったが、この5年のあいだに紆余曲折があった。

そんなチームPの曲をバンドアレンジで聴かせる、と言うとスクリーンにリンドウ、マイカ、メノウ、真珠、ネコメの姿と大きなPの文字が浮かびあがる。ドラムのカウントと共にダンサブルな「僕のすべてを君に捧げる」が響きだし、リンドウのシンガー・あじっことKradnessの追いかけのボーカルでヒリヒリとした緊張感のある一曲をダイナミックに歌い上げた2人。これがバンドの音によって高ぶるボーカルか。

続いたのはケイとリコの主演混成チームの対決曲となった「aka,aka」だ。「ジャンヌダルク」の物語をベースに作られたSide Aの公演曲だ。軽快なギターの上を軽やかに駆けるナンバーをKradnessがスタンドマイクで歌い上げた。 ラップのバースパートではビートに合わせてピンクのライトが揺れた。

そんなSide Aでマイカと共に戦ったケイの歌う「Crazy for」が続く。「福岡の夜にすべて委ねようぜー!」と声をあげた瞬間、フロアの光はピンクから黄色へと変貌を遂げていた。一気にチームKのカラーに染め上げた藤田のボーカルがパワフルに響く。ステージ上段にKradnessとあじっこが登場。「はつ恋」は都会的な静けさと情熱とのコントラストのあるダンスチューン。リンドウとマイカのユニゾンがカラフルに響く。 スクリーンに映し出されるリリックが、フロアの雰囲気を作っていく。どこかスターレスの店内でステージを見ているような感覚になるパフォーマンスだった。

フロアの空気をばっさりと切るように鋭い音が轟いたのはチームBの「極夜」だ。攻撃的なラップで言葉が降り注ぐ。圧倒されるほどのドラムのリズムが全身を震撼させるようだ。アーバンなダンスビートがフロアへと広がっていくとステージはチームCの「暁の願い」へ。「オイ!」と客席を煽り、クラップを求めるしゃけみー。オーディエンスと一体となって楽曲を紡いでいくと観客はそのアクションに応えた。

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡夜公演

技巧派な楽曲が生み出すパワーがフロアを席捲

MCで登場したのは藤田、しゃけみー、IDEの3人。「僕はグッズのことを知りたい!」と言う藤田。ここでグッズ紹介へ。バケハがキャストには人気な様子で、昼の部ではIDEが、この夜の部では藤田がかぶった。楽しく3人でのグッズ紹介を終えると、IDEが歌う「綺羅星」からライブは再開。ノスタルジックな雰囲気あるトラックはギターの音でより叙情感を増す。

続いたのはチームPの「Luminous Snow」。オスカー・ワイルドの「幸福な王子」をモチーフにした一曲を歌い上げるあじっこ。切なさがドラマティックなサウンドに滲むナンバーは掻き鳴らされるギターの旋律によってエモーショナルに響き、青い光が曲の世界観をより深いものへと変えていった。

そんな曲のあとにはもう一曲あじっこが歌い上げる「BELOVED」だ。アンプロワーズ・トマによるオペラ「ミニョン」を原典にした一曲は優しく鳴る音と波打ち際に打ち寄せるような柔らかな音が印象的なラブソングだ。檻に閉じ込められるような格子状のライトの下で歌う齋藤が響かせるチームKの「闇に咲く」は吉野の覚悟を感じさせる一曲。誰のために歌うの、と問いかける声に切実に滲む彼の想いを齋藤が見事に表現した。

「眠れる森の美女」をモチーフにした「PRISMATIC TEAR」を歌う松本。スターレスを襲った事態の中で混乱したキャストたちが深い森の中に迷いこんだようなナンバーのあとには、航海へと出るネモ船長の想いが宿る「WORLDS APART」が響く。どちらも表情豊かな歌声の持ち主であるケイと夜光、藤田と松本。轟く低音と艶ある高音とのユニゾンが会場を駆け巡った。

ステージが暗闇に包まれる。 青い光が揺れ動く中、ドラムにスポットがあたり、叩き出されるビートから力強いマーチングビート。紡がれたのは「LEVITATE」だ。ケイの情感たっぷりな歌を表現する藤田。言葉を一つひとつ、オーディエンスにぶつけるように歌い上げるけれど、それはとても愛深い言葉たち。二都物語を原典とした一曲ながら、強い想いが宿り、ケイを象っていくような一曲だ。ゲームのプレイヤーである主人公と近しい存在であるケイが歌い上げた直後、照明が影を落とし、次の瞬間にステージに立っていたのはIDE。同じく主人公の傍らにいる存在であるヒースが歌う「人間失格」は、ギターの音が感情をほぐしていくように響く中、情緒の動くままに言葉を乗せるIDEが印象的だ。

「踊り狂う準備はいいか、福岡」と煽る声をあげ、ステージに登場したのはSHIN。ブラスタの新キャストである青桐のシンガーであるSHINが歌うのは「VAPORIZE」だ。チームCの曲ながら、これまでの柘榴が作り上げたイメージからよりアグレッシヴに、肉感的なサウンドをラウドに攻撃的に放てば、ペンライトも激しく揺れる。デザイナー志望としてスターレスにやってきた舞踏派デザイナーの青桐の歌声は鋭い感情が乗り、これまでスターレスにいたどのシンガーとも違う声。今後彼がどんな歌を放っていくのか楽しみでならない。

そんな一曲のあとにはチームKが温泉地で開催した公演の一曲「FORT/TUDE」。「川中島の戦い」をモチーフに夜光が力強いビートと共に歌い上げるナンバーをステージ上段で歌う松本の元へと階段をあがっていくベースとギター。 その2人を率いて武将さながらに腹の座ったボーカルを響かせた松本のステージングからバトンを受け取ったのは吉野こと齋藤とマイカことKradness。シーズン5最終章「Owner’s Order」で店を二分した戦いで歌われた「失楽園」をテーマとした一曲「Ur-Fall」。重々しいイントロからマイカの雄々しさが出たボーカルと吉野のアグアグレッシブ全面に出るボーカルが絡み合う、斬新な印象のある一曲を生バンドの演奏による圧倒的なパワー感あるサウンドで響かせた。

ブラックスター「BLACK SONIC」福岡夜公演

最新曲が並ぶアンコールまで一気に駆け抜けるBLACK SONIC

MCの時間となったステージに出てきたのは齋藤、松本、SHINの3人。センターに立つ齋藤は「もうちょっと寄って」と2人に近づくように言う。「バンド、いいね」って松本。「この3人はバンドマンだね」と言うと「確かに!」と意見が合う。

そしてシンガーがステージに揃い「BLACKSTAR BLACK SONIC ver」。この日のライブでしか聴けないバージョンということで、小林による歌いだしのパートをKradnessの低いボーカルで聴けるというのは新鮮だった。さすがチームPを主軸にした構成でのライブだ。 観客はそれぞれの推しの色をペンライトに灯し、大きく振り、カラフルに彩られたフロアにバンドの音が押し寄せる。

「本編最後の曲です」と藤田が告げ、「ego」へ。すべてのシンガーが歌うこの曲。その声の音像で既にパワー感のある一曲が、バンドの音を得たことでより強力となり、勢いを加速していく。ここでもまた晶パートを歌うマイカ、というバージョンで聴け、ファンにとっても楽曲の新たな表情を楽しめ、ライブならではの空間は熱い時間となった。

アンコールの声に導かれたルーレットで止まった目はチームB。6月末の公演となったこの日に、6月初旬に実装された「Armageddon」を生のライブで響かせるとあって、観客から歓声が沸く。フリードリヒ・フォン・シラーによる戯曲「メッシーナの花嫁」を原典とした公演曲は兄を恨む弟の想いが宿る一曲。ドラマあるトラックから叩き込まれるリリックが刺さる。

「BLACK SONICアンコール、ありがとうございます!」とIDEがステージを去ると、続いたのは藤田。「ほやほやの新曲です。声を聴かせて!」と言うとシーズン5最終章の公演曲「Behind the Ruins」を歌い上げる。ワーグナーのオペラ「ローエングリン」を原典とした公演はシーズン1第1章「During the demise」と同じだ。物語をよみがえらせながらストリングスの音色と藤田の歌声に聴き入ったオーディエンス。それぞれがこの日の感想を伝えると、ラストは会場一体となって歌い上げる「Just a Loser」。バンドの音が福岡の街にブラックスターを刻み付けた。

これがはじまりとなったBLACK SONIC。ゲーム中の楽曲をオケでのライブで、ダンサーを含む公演の再現で、と見せてきたブラスタの新たなライブの形がついに幕を開けた。ここから最終日まで駆け抜けるライブは、最後の公演でどのように開花するのか。期待したい。

セットリスト

■BLACK SONIC -Day1- / Zepp Fukuoka / 2024.06.29【昼公演】セットリスト
01. Outsider BLACK SONIC ver
02. During the demise
03. 日蝕
04. 虹の彼方へ
05. Purple Dawn
06. Breakin’ it faster
07. 雪花
08. Out in Out
09. Crazy for
10. はつ恋
11. 極夜
12. 暁の願い
13. 綺羅星
14. 銀河鉄道を探して
15. 闇に咲く
16. PRISMATIC TEAR
17. WORLDS APART
18. LEVITATE
19. 人間失格
20. VAPORIZE
21. Riskin’ it all
22. Seed in your hand
23. BLACKSTAR BLACK SONIC ver
24. ego
EN1. To the world
EN2. Blanche
EN3. Just a Loser

■BLACK SONIC -Day1- / Zepp Fukuoka / 2024.06.29【夜公演】セットリスト
01. Outsider BLACK SONIC ver
02. During the demise
03. 日蝕
04. 虹の彼方へ
05. Purple Dawn
06. 僕のすべてを君に捧げる
07. aka,aka
08. Crazy for
09. はつ恋
10. 極夜
11. 暁の願い
12. 綺羅星
13. Luminous Snow
14. BELOVED
15. 闇に咲く
16. PRISMATIC TEAR
17. WORLDS APART
18. LEVITATE
19. 人間失格
20. VAPORIZE
21. FORT/TUBE
22. Ur-Fall
23. BLACKSTAR BLACK SONIC ver
24. ego
EN1. Armageddon
EN2. Behind the Ruins
EN3. Just a Loser

イベント情報

ブラックスター -Theater Starless-「BLACK SONIC」福岡公演
開催日:2024年6月29日(土)
会場:Zepp Fukuoka

■出演Singer・MC
【昼公演】藤田玲(ケイ Singer)/齋藤知輝(吉野 Singer)/松本明人(夜光 Singer)/小林太郎(晶 Singer)/あじっこ(リンドウ Singer)/Kradness(マイカ Singer)/TakuyaIDE(ヒース MC)/しゃけみー(柘榴 Singer)/SHIN(青桐 Singer)
【夜公演】藤田玲(ケイ Singer)/齋藤知輝(吉野 Singer)/松本明人(夜光 Singer)/あじっこ(リンドウ Singer)/Kradness(マイカ Singer)/TakuyaIDE(ヒース MC)/しゃけみー(柘榴 Singer)/SHIN(青桐 Singer)

■バンドメンバー
Guitar:wata harikemu (バンドハラスメント)
Bass:肥田野剛士 (Mellow Youth)
Drums:斉本佳朗 (バンドハラスメント)

■スタッフ
総合演出:Shin.1
制作:株式会社ニライカ
主催:株式会社DONUTS

■「BLACK SONIC」詳細
イベントページ https://blackstar-ts.jp/category/news/?pid=5573
チケット情報 https://blackstar-ts.jp/category/news/?pid=5606

LIVE REPORT TEXT BY えびさわなち
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