アニメ制作会社・動画工房がKADOKAWAの子会社になった理由、背景や目的とは?
アニメの原作がKADOKAWA発行の小説や漫画に限られるか、「きらら」作品を制作する世界線は残っているか?なども考察。
KADOKAWA、動画工房を子会社化

KADOKAWAは、IPの安定的な創出・制作ラインの拡充と制作力の強化・世界に向けて継続的にアニメを創出する意向を示す中で、世界的に評価されているアニメ制作会社・動画工房の株式を取得し、子会社とすることに合意した。
KADOKAWAと動画工房は約10年にわたる良好な関係で、KADOKAWA 執行役 菊池剛氏は「グループに迎えられたことは幸甚の至り」、動画工房 代表取締役 石黒竜氏はKADOKAWAが「共に作品を制作してきた会社で、良き理解者であってくれました」とコメントしている。なお、動画工房の子会社化がKADOKAWAの当期の連結業績に与える影響は軽微と発表。
子会社化について考察
■目的
KADOKAWAによる動画工房の子会社化は、質の高い制作ラインの確保と強化が目的の1つになっている。作画が綺麗なアニメ制作会社・動画工房がKADOKAWAグループとなることで、継続的なIP創出の体制が整うことにも繋がる。
動画工房としては、KADOKAWAを親会社にすることで資金面などの安定に繋がるので、作品作りに打ち込める環境が整備されたことになる。
■原作がKADOKAWA発行の小説や漫画に限られるか
KADOKAWAが動画工房を子会社化したことで、アニメの原作がKADOKAWA発行の小説や漫画に限られるわけではない。子会社化の際、KADOKAWAが動画工房の制作アニメ例として挙げたアニメは3つ(『月刊少女野崎くん』『NEW GAME!』『【推しの子】』)で、全てKADOKAWA発行の小説や漫画ではないことからも伺える。
動画工房が制作したアニメで、『月刊少女野崎くん』はスクウェア・エニックス「ガンガンONLINE」連載漫画が原作、『【推しの子】』は集英社「ヤングジャンプ」連載漫画が原作であり、KADOKAWAがアニメ製作委員会に参加していた。
子会社化の発表日・2024年7月11日時点で同時期の放送クールとなっている2024年夏アニメ『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』(ロシデレ)は動画工房が制作し、原作は角川スニーカー文庫の小説でKADOKAWA屈指の人気作だが、子会社化にあたって作品名を使用していない。これは動画工房の子会社化後も、KADOKAWA発行の小説や漫画に限らず、幅広くアニメを扱う意図が感じられる。
実際に2025年春アニメ『紫雲寺家の子供たち』は白泉社「ヤングアニマル」連載漫画が原作で、子会社化後にKADOKAWA作品ではないアニメを動画工房が制作しているため、今後も幅広く手掛けることが伺える。
■「きらら」作品
動画工房といえば「きらら」作品を多く制作していたイメージもあるが、子会社化後に動画工房が「きらら」作品を制作する世界線も消えていないと考察できる。例えば『NEW GAME!』は芳文社「まんがタイムきららキャラット」連載漫画が原作であり、KADOKAWAがアニメ製作委員会に参加していた。グループ会社化とは何の関係もなく、これまで通り機会があれば制作される可能性があると解釈できる。
両社にとって体制や基盤が整うグループ会社化だと思うので、KADOKAWAと動画工房によるアニメ展開に引き続き注目していきたい。
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