アニメ制作会社・動画工房がKADOKAWAの子会社になった理由、原作&きらら作品考察

アニメ制作会社・動画工房がKADOKAWAの子会社になった理由、原作&きらら作品考察

アニメ制作会社・動画工房がKADOKAWAの子会社になった理由、背景や目的とは?

アニメの原作がKADOKAWA発行の小説や漫画に限られるか、「きらら」作品を制作する世界線は残っているか?なども考察。

KADOKAWA、動画工房を子会社化

株式会社KADOKAWAが、アニメーション制作スタジオ・株式会社動画工房の株式を取得し、子会社とすることに合意した。

アニメ制作会社・動画工房がKADOKAWAの子会社へ

KADOKAWAグループは、2028年3月期までの中期経営計画において、多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、世界に広く展開することを中核とした「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進を基本戦略としている。そしてメディアミックスの中心となるアニメ事業の戦略として、制作ラインの拡充および制作力を強化することによって、魅力的なアニメ作品を継続的に創出していく体制を構築し、アニメを核としたIP価値の最大化を目指している。

1973年創業の動画工房は、豊富なアニメ制作の実績を持ち、かつ多くのヒット作を手掛けるスタジオ。魅力的なキャラクター描写、そして作品自体の世界観を表現するその丁寧な作画は、世界中のアニメファンから高い評価を受けている。『月刊少女野崎くん』や『NEW GAME!』のアニメ制作に始まり、約10年にわたるKADOKAWAとの良好な関係の中で、様々な作品を生み出してきた。そして昨年は『【推しの子】』が歴史的な大ヒットを記録し、日本のみならず海外でも大きな話題となった。

今後は動画工房を迎え、KADOKAWAグループおよびグループスタジオ5社(子会社の株式会社ENGI、株式会社Studio KADAN、株式会社レイジングブル、株式会社ベルノックスフィルムズ、そして関連会社の株式会社キネマシトラス)との連携を図ることで、グローバルに通用するアニメ作品の創出に向けた体制をより一層強化していく。動画工房の子会社化がKADOKAWAの当期の連結業績に与える影響は軽微と発表している。

コメント

■株式会社動画工房 代表取締役 石黒竜
「設立51年目を迎え、今まで多くの制作会社の方々、専門会社の方々やメーカーの人々と作品を作ってまいりました。KADOKAWAも共に作品を制作してきた会社で、良き理解者であってくれました。動画工房が今まで以上に意欲的に作品作りを続けられる環境を整え、今後もより良い作品を世に出せるよう頑張りますので、応援いただけますようお願いいたします」

■株式会社KADOKAWA 執行役 Chief Anime Officer(CAO)菊池剛
「50年以上の歴史を持ち、世界中で愛されるアニメスタジオである株式会社動画工房を、当社のグループに迎えられたことは幸甚の至りです。今後はさらに両社の連携を高めていくことで、これまで以上に魅力的で刺激的な、世界中の皆さまの心に残る作品を生み出してまいります」

子会社化について考察

■目的
KADOKAWAによる動画工房の子会社化は、質の高い制作ラインの確保と強化であることがわかる。作画が綺麗なアニメ制作会社・動画工房がKADOKAWAグループとなることで、継続的なIP創出の体制が整うことに繋がる。

動画工房としては、KADOKAWAを親会社にすることで資金面などの安定に繋がるので、作品作りに打ち込める環境が整備されたことになる。

■原作がKADOKAWA発行の小説や漫画に限られるか
KADOKAWAが動画工房を子会社化したことで、アニメの原作がKADOKAWA発行の小説や漫画に限られるわけではないと考察できる。KADOKAWAが動画工房の子会社化で挙げているアニメは3つ(『月刊少女野崎くん』『NEW GAME!』『【推しの子】』)で、全てKADOKAWA発行の小説や漫画ではないことからも伺える。

動画工房が制作したアニメで、『月刊少女野崎くん』はスクウェア・エニックス「ガンガンONLINE」連載漫画が原作、『【推しの子】』は集英社「ヤングジャンプ」連載漫画が原作であり、KADOKAWAがアニメ製作委員会に参加していた。

子会社化が発表された2024年7月11日時点で放送中のアニメ『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』(ロシデレ)は動画工房が制作し、原作は角川スニーカー文庫の小説でKADOKAWA屈指の人気作だが、子会社化にあたって作品名を使用していない。これは動画工房の子会社化後も、KADOKAWA発行の小説や漫画に限らず、幅広くアニメを扱う意図が感じられる。

■「きらら」作品
動画工房といえば「きらら」作品を多く制作していたイメージもあるが、子会社化後に動画工房が「きらら」作品を制作する世界線も消えていないと考察できる。例えば『NEW GAME!』は芳文社「まんがタイムきららキャラット」連載漫画が原作であり、KADOKAWAがアニメ製作委員会に参加していた。グループ会社化とは何の関係もなく、これまで通り機会があれば制作される可能性があると解釈できる。

両社にとって体制や基盤が整うグループ会社化だと思うので、KADOKAWAと動画工房によるアニメ展開に引き続き注目していきたい。

動画工房 会社概要

会社名:株式会社動画工房(英文表記 Doga Kobo inc.)
所在地:東京都練馬区豊玉北二丁目21番11号
代表者:石黒竜(代表取締役)
設立年月日:1973年7月11日
従業員数:62名(2024年6月現在)
事業内容:アニメーションの企画・制作および販売

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