テレビシリーズ放送開始から15周年を迎えたクレイ・アニメーション「ひつじのショーン」。2022年12月16日より映画『ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!』がいよいよ公開となります。
本作で上映される「ひつじのショーン ~クリスマスの冒険~ 劇場公開版(原題:Shaun the Sheep: The Flight Before Christmas)」は、「キッズ部門:アニメーション」カテゴリーで第50回国際エミー賞®を受賞。「ひつじのショーン」シリーズ5度目となる受賞を果たしています。
今回はスティーブ・コックス監督にインタビューを敢行し、撮影後の気持ち、編集で印象に残っていること、音楽面などについても語っていただきました。
スティーブ・コックス監督 インタビュー
——「ひつじのショーン」テレビシリーズ放送開始15周年、「ひつじのショーン ~クリスマスの冒険~」第50回国際エミー賞®受賞おめでとうございます!
本当に嬉しかったです。実際にニューヨークに行って、他の作品も素晴らしいものばかりだったので、その中で受賞できたのはワクワクしましたし、嬉しかったです。
「ひつじのショーン」は前にも国際エミー賞®を受賞しているのですが、僕自身、そしてプロデューサーも今回初めてですので、すごく嬉しかったですし、光栄でした。それだけ人々に評価されたんだなということが実感できました。
——本当におめでとうございます。「ひつじのショーン ~クリスマスの冒険~」撮影後はどのような気持ちでしたか?
色々な意味でホッとしました。30分ではありますが、この映画を作るのは大変な作業だったので、完成できたのが嬉しかったですし、自分たちでも誇りに思える作品ができたと感じました。手ごたえを感じましたので、それを世の中の皆さんにお見せするということにワクワクしました。
完成したのが2021年9月だったのですが、イギリスでクリスマスに放送されるまでしばらく時間があったので、自分の疲れた体を癒して、充電する期間がありました。家族や友人、大勢の視聴者に見てもらえた際には、本当に頑張った甲斐があり、やりがいを実感できました。
——撮影や編集で、印象に残っていることはありますか?
今回、制作の早い段階からプロジェクトに加わることができたのですが、監督することが決まった段階では物語ができる初期段階だったので、かなり自分も物語やジョーク・笑えるネタに貢献できました。
その中で特に皆で大笑いしながら作ったのが、ビッツァーが氷の中にハマってしまい、そこから必死に動いて出ようとしているシーンでした。色々なアイディアが出て、こんなことやらせたら面白いんじゃないか、あんなことやらせたら面白いんじゃないか _というのがどんどん出て、その度に大笑いし、付け加えながら楽しく撮りました。その中から一番良いものを選んで、あのシーンを作っていったというのをすごく覚えています。
——ビッツァーが氷漬けになるシーンは衝撃的です!
アイディアも面白かったのですが、撮影もすごく面白くて。ビッツァーを氷の中にどういうふうに入れたら面白いのか、ということを色々考えながらやりました。作るのも楽しかったです。
——本作ではクリスマス・マーケットでティミーが迷子になる展開が描かれていますね。ティミーを含むキャラクターの見せ方で、こだわりポイントや気をつけたことなどはありますか?
ティミーが牧場からいなくなり皆で探しに行く物語になっているのですが、ティミーを中心に物語を展開していくというのは初めてだったので、すごく面白かったです。
撮影をするときに気をつけたのが、ティミーをどのように撮るのかというところで、迷子になる展開でも子どもたちを怖がらせたくなかったので、箱に入るティミーを撮るときにいわゆる低いところから撮っていきました。
ティミーが常にサンタクロースを見つけたくてしょうがないところ、表情でも怖がっていないワクワクしているところ、クリスマス・マーケットに行ってもサンタを見つけて探すところをしっかり捉えることを大切にしました。
あとは、ティミーのママを前に出して、静かで見守っているただのお母さんではなく、息子を取り返すためならドアも蹴破るぐらいの強さを出しました。世界中で愛されているキャラクターですので、今回そんな彼らを描けたのが嬉しかったです。
——子どもたちに愛されるというのは大事ですよね。
視聴者は本当に幅広くて、年齢層で言うと4歳から94歳まで観ているので、多くの人達のことを考慮に入れないといけないというのは当然あるのですが、小さなお子様が怖がらないようにするというのは、すごく気を遣います。
その中でもワクワクする展開、どうなるんだろうとハラハラドキドキする物語にしないといけないので、小さなお子様もワクワクしながら楽しめるようにするというのを心掛けてやっています。
——「ひつじのショーン」ではBGM・効果音も大事な要素になっていると思いますが、BGM・効果音についてどのようにお考えでしょうか?
今回の映画を作っていて、音楽のところはすごく楽しかったです。もともと映画音楽が好きで、音楽だけでも十分に感情や物語が伝わってくると思うんですね。感情の起伏というものも音楽ですごく伝えられると思います。
トム・ハウさんという素晴らしい作曲家が、この作品の音楽を制作してくれましたが、彼はハリウッドの作品でもオーケストラを使って映画音楽を制作されている方なので、今回もオーケストラを使って音楽を作ってくれました。
物語がクリスマスということで、それだけである程度の音楽的な世界観が出てくると思うのですが、僕自身クリスマス音楽も大好きで、オーケストラでクリスマスのあたたかい雰囲気や感情を伝えることを大事にしました。物語の最後に感動していくところ、面白い瞬間をより面白く見せる演出は、音楽がすごく助けてくれていると思います。
——「ひつじのショーン」は音楽が印象的で、それだけで楽しさや感情が伝わってきます!
今回、音楽の録音はアビイ・ロード・スタジオで、ビートルズや「スター・ウォーズ」のサントラなどの録音でも使われている有名なスタジオでできたことも嬉しかったです。これまでの「ひつじのショーン」の作品と比べて音楽のスタイルが違い、牧場ならではのホンワカしたものから、やはりクリスマスならではの感動・美しい壮大なオーケストラ音楽を使うことができたのが、個人的に嬉しかったですね。
——スティーブ・コックス監督にとって、「ひつじのショーン」とはどんな存在ですか?
すごく楽しいキャラクターですよね。長く愛されている作品ですし、長年続いていても見飽きないキャラクターだと思います。
「ひつじのショーン」をやっていると、かつて関わっていた「ピングー」を思い出します。「ピングー」も素晴らしいキャラクターだと思いますが、「ひつじのショーン」は年齢が少し上のバージョンという感じですかね。
イタズラが好きで、常に何か面白いことをやれないかと考えて、トラブルに巻き込まれるというところも面白いので、やっていて楽しいですし、新しいアイディアがどんどん思い浮かびます。
——「ひつじのショーン」はイタズラやトラブルのシーンが本当に面白いです!
作っていても楽しいですよ。大人になると当然イタズラとかができないので、おもちゃを使ってイタズラができるのはすごく楽しいです。
——クレイ・アニメーションの魅力、やりやすいところはありますか?
何よりも2Dや3Dのアニメーションと違って、自分が実際に触れることができるもので作品を作るわけですよね。まさにオモチャで遊んでいるような感覚で作品作りができる。粘土を使ったキャラクターに色々なポーズをさせたり、表情を付けさせたりできることが楽しいです。
一番幅広い表情を付けさせられる柔軟性があるので、クレイは素晴らしいと思います。だからニック・パーク(※「ひつじのショーン」原案)もクレイに行きついたと思うんですね。ストップモーションも色々あるのですが、細かい表情・感情の機微を伝えるのに、これが一番良い表現方法だろうというのと、手で触って置いていくところはやっていて楽しいです。
——最後に、映画公開を楽しみにしているファンの方々に向けてメッセージをお願いします。
日本の大きいスクリーンで僕たちの映画が公開されることにワクワクしています。皆さんにぜひ楽しんでいただき、クリスマスの雰囲気を味わっていただければと思います。ぜひ観た後の感想などもお寄せください。
映画『ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!』
■公開日
2022年12月16日(金)
■ストーリー
今回の舞台はモッシーボトム牧場のクリスマスイブ。
仲間とクリスマスの準備をしていたショーンは大きな靴下を手に入れるために忍び込んだ牧場主の家で大暴れ。そのうちにサンタを追ってティミーがクリスマス・マーケットで迷子になってしまった!ティミーを探しに町へと出かけたショーンたち。だけどティミーが隠れていたギフトボックスは、なんと地元のセレブ、牧場主のベンの車に乗せられて消えてしまう。
はたしてショーンたちはティミーを無事に助け出すことができるのか・・・?
最新作『ひつじのショーン~クリスマスの冒険~ 劇場公開版』に加え、懐かしのシリーズ2から「だんろの前で」、「ある雪の日」、「メリークリスマス!」のクリスマス・セレクション3編が同時上映!
ショーン達が巻き起こす、楽しくて、でもなんだかあったかいクリスマスの大騒動をぜひお楽しみに!
■映画『ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!』公式サイト
https://www.aardman-jp.com/shaun/shaun-christmas/
■ひつじのショーン公式Twitter
https://twitter.com/aardman_jp
© Aardman Animations Ltd 2021
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