『ぼくらのよあけ』東京国際映画祭トークショーに黒川智之監督&佐藤大脚本登壇!【レポート】

『ぼくらのよあけ』東京国際映画祭トークショーに黒川智之監督&佐藤大脚本登壇!【レポート】

【オフィシャルレポート】劇場アニメ『ぼくらのよあけ』東京国際映画祭 ジャパニーズ・アニメーション部門にて上映!トークショーに黒川智之監督&佐藤大脚本登壇!

日本のドメスティックな文化“団地”を描いた作品、世界へ!今はなき阿佐ヶ谷住宅がスクリーンに蘇る!大胆な解釈の制作秘話を明かす

東京国際映画祭『ぼくらのよあけ』トークショー開催!

都内で開催中の第35回東京国際映画祭で10月28日、現在大ヒット公開中のアニメーション映画『ぼくらのよあけ』が上映され、脚本家の佐藤大と黒川智之監督がトークイベントを行った。

全2巻の原作コミックをアニメーション映画化するにあたり、黒川監督は「原作にあるすべてのエピソードを2時間の映画に収めることは難しいので、何を守って何を削るのか、エピソードの取捨選択に時間を費やしました」と制作秘話を回想。

団地マニアのためのトークユニット・団地団メンバーでもある佐藤は、「“団地”という日本のドメスティックな文化を描きつつ、世界共通の“未来”や“宇宙”をテーマにした作品なので国際映画祭で上映されることは感激です」としながら、「原作の持ち味を変えずに、漫画を読み終えた後に感じる爽快感や多重性を映画に持たせるためにはどうすればいいのか?原作者であり団地団メンバーの今井哲也さんにも脚本チームに参加してもらい、黒川監督と3人で熟考していきました」と脚色の経緯を明かした。

佐藤曰く「阿佐ヶ谷住宅は団地の中の団地といえるほどの初期の貴重な団地」だが、2013年にすでに解体されている。

それを本作の時代設定である2049年に出現させるうえで黒川監督は「外装については2049年なりのものにするか美術チームと話し合ったけれど、最終的には在りし日の阿佐ヶ谷住宅の姿のまま2049年にもあるということにしました。それが本作においては大事なポイントで、昭和の匂いがまだ残る阿佐ヶ谷住宅として再現しました」とこだわりを持ってデザインしたという。

黒川智之(監督)

そして佐藤は「原作ではコミックスが発売された当時の2011年を舞台に(本作の主人公である)悠真の親世代たちが“二月の黎明号”と出会う設定となっているので、映画では2022年に出会わなければ原作の味を損ねてしまう」とコミックスから時代設定を変えたことを明らかにし、「(2013年に解体された)阿佐ヶ谷住宅が2022年にあるなら、本作のメインの舞台になる2049年にあってもいいだろうと大胆な嘘をついたわけです」と更なる制作秘話も語った!

佐藤大(脚本)

悠真家のお手伝いロボット・ナナコの可愛いビジュアルも話題の本作。黒川監督はデザインについて「今のロボット技術の延長線上にあるリアル感と、親しみを抱ける柔らかいデザインとしてアニメーションに落とし込みました」と紹介。佐藤もナナコを本作の見どころに挙げて「最初は悠真の目線で映画を観る方も多いと思うけれど、再度観る際にはナナコがいつから悠真に嘘をついていたのか、いつからお父さんとお母さんに話をしたのか?そんな点に注目して観ると、ワンカットしかないシーンの意味がグッと変わってくる。ナナコと二月の黎明号がいつお父さん世代にアプローチしていたのかなど、原作を読んだうえでナナコと二月の黎明号の動きを見てもらえたら嬉しい」とアピールした。

黒川監督も、再度『ぼくらのよあけ』を観ていただける際には「悠真がナナコをどのように呼んでいるのかをストーリーを追いながら観ていただくと、その変化がわかっていただけるはずです。また全体の話や各キャラクターのパーソナリティーを理解した上で、女子側のストーリーやその関係性、お姉さんと弟などの周りのキャラクターの物語やそれぞれの感情の起伏に注目してもらえたら」と呼び掛けていた。

イベント概要

映画『ぼくらのよあけ』 TIFFトークショー黒川監督&佐藤大(脚本)登壇 概要
日程:2022年10月28日(金)
会場:TOHOシネマズ スクリーン1
登壇者:黒川智之(監督)、佐藤大(脚本)
©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会

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